戦象の歴史 

 

象の種類 

 

インド象(アジア象) 

インドに棲息し、全高は三〜四m。額が窪んでおり、耳は小さく、前脚に五本、後脚に四本の蹄を持つ。インド、スリランカ、インドシナ半島、中国雲南省、マレー半島、スマトラ、ボルネオ両島に分布する。亜種が多く、細かくは十二、大きくは三つに分類される。(セイロン象はスリランカ固有の亜種)インド象は、もっとも従順で扱い易いとされ、インドの諸王朝やオリエントの帝国、東南アジアの諸王国で戦象として運用された。他にもメソポタミア象、ペルシア象、中国象、ジャワ象などのアジア象の亜種が存在したが、前五世紀頃に絶滅したので、戦象としては運用されなかったと考えられる。(オリエントで栄えた紀元前八世紀のアッシリア帝国などが戦象を運用したという記録はない。十二世紀に絶滅したジャワ象ならば東南アジア諸王国で運用された可能性もある)また、現在でもビルマでは五千四百〜八千四百頭の象が林業の労働力として使役されている。七世紀、クメール王朝最盛期のカンボジアには、カンボジアだけで、二十万頭のインド象が棲息していたが、乱獲や森林開発でその数を減らし、保護政策がとられているものの、現在では全アジアでも四万頭あまりしか棲息していない。

 

サヘル象(マルミミ象・森林象)

かつてアフリカのサヘル地帯が緑に覆われていた時代に棲息していた小型象。アトラス山脈の南の地にちなんでゲトリアとも呼ばれた。小型の象で全高二〜三mしかない。プトレマイオス朝エジプトやカルタゴで戦象として運用されたのが、このサヘル象だった。サヘル象は、戦象にするため狩り集められ絶滅してしまったが、現在も中央アフリカの森林地帯に生息するマルミミ象(森林象)と同種族であると考えられる。マルミミ象は、耳と頭部が丸く、牙は下にむかってほぼ垂直に生えており、前脚に五本、後脚に四本の蹄を持つ。アフリカ象(サバンナ象)の亜種であるという説が長年唱えられてきたが、最近は別種であるという説が有力。

 

アフリカ象(サバンナ象) 

アフリカのサバンナに棲息する最大の象。地上最大の哺乳類でもある。全高は四〜五mに及ぶ。巨大な牙と団扇のような耳が特徴で額は低く平ら。蹄は前脚が四本、後脚が三本である。アフリカの諸王国で戦象として使われることはなかったが、凶暴で馴らすことができないというのは風説に過ぎない。コンゴがベルギー領であった時代に、インドの象使いを雇い、アフリカ象を調教することに成功、コンゴ独立後は少数が労働力として使役される。十九〜二十世紀には象牙を目当てに狩られ、大幅にその数を減じた。保護政策がとられているが、密猟の手口は悪質化し、絶滅の危機に瀕している。 

 

古代インド諸王朝の戦象

 

ヘレニズム諸王朝の戦象

 

エペイロス王ピュロスの戦象

 

カルタゴの戦象

 

ササン朝ペルシアの戦象

 

ムガル帝国の戦象

 

東南アジア諸国の戦象

 

 

主要参考文献一覧

 

 

 

 

 

 

    

 

 

 

 

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